原爆小文庫

 

半世紀近く、西東京市図書館で受け継がれてきた原爆小文庫。この小さな文庫が、次世代に平和の尊さを伝える場所であり続けられるよう、2023年夏、新しくうまれかわりました

原爆小文庫の由来

1976年(昭和51年)、当時保谷市民だった原爆関係資料の研究家・長岡弘芳氏が「多くの人に原爆関係の本をよんでもらいたい」との思いから、全国から集めた原爆関係の資料を、旧・保谷市下保谷図書館(当時)に寄託されたのが始まりです。

寄託された250冊に図書館が30冊を買い足し、280冊からスタートした原爆小文庫。1976年10月26日のことでした。
当時地域の公共図書館に「原爆」という単独のコーナーが設けられたのは、初めてのケースだったそうです。
※参考:1976年10月20日読売新聞朝刊・武蔵野版「「原爆文庫」保谷で開設 研究家の寄贈呼びかけ実り 全国から大反響250冊」
 

文庫は1994年(平成6年)、開館したひばりが丘図書館に移転。2001年に田無市と保谷市の合併により西東京市が生まれた後も、多くの人に支えられ、続いてきました。

 

みんなの図書館「原爆小文庫」掲載(ぼかし)
『みんなの図書館 1983年1月号通巻68号』(図書館問題研究会/編、図書館問題研究会、1983)
pp.6-7に原爆小文庫の記事が掲載されており、当時の文庫の様子がうかがえます(著作権の都合上、画像にぼかしが入っています)

原爆小文庫の貴重書
左手前)『ピカドン-平和を守る会篇-』(丸木位里(絵)・赤松俊子(文)、ホツダム書店、1950(昭和25年)※初版)
左奥上から下)『屍の街』(大田洋子著、中央公論社、1948)、『絶後の記録-広島原子爆弾の手記 亡き妻への手紙-』(小倉豊文/著、中央社、1949)、『原爆民衆史』(長岡弘芳/著、未来社、1977)
右)原爆小文庫に寄せて、はだしのゲンの作者である中沢啓治氏からいただいたサインには、1980年の日付があります


 

2023年リニューアル

1976年の開設以降、市民の方のみならず、多くの市外・県外の方に利用されてきた原爆小文庫。

より使いやすく、より多くの人に知ってもらうため…開設から半世紀を前にした2023年7月、原爆小文庫は新しくなりました。
 

  • 新しい書架を設置して、展示機能を拡大。書庫に眠っていた貴重な資料も含め、手に取りやすい環境になりました
  • 資料を内容や形態で分類。検索もできるようになり、資料が探しやすくなりました
 

原爆小文庫書架

原爆小文庫が大切にすること

原爆小文庫は、次のふたつを大切にします。

 
  • 広島・長崎の原爆関係の資料を、形態にとらわれることなく、幅広く収集すること
  • 広島・長崎の市井の人々の被ばく体験など、「生の声」を後世に伝えるような資料を、意識的に収集すること
 

原爆小文庫コンセプトボード

なによりも、この文庫が「次世代に平和の尊さを伝える場所であり続けること」を大切にしていきます。

折り鶴

原爆小文庫の資料分類

原爆小文庫の資料には、次のような分類シールが貼られています。手に取る際の参考にされてください。

 
タイケンキ 原爆小文庫ラベル「タイケンキ」 被ばく体験が書かれたもの
ブンガク 原爆小文庫ラベル「ブンガク」 原爆文学
ブンケン  原爆小文庫ラベル「ブンケン」 ブックリストや原爆研究、原爆文学研究
キロク  原爆小文庫ラベル「キロク」 原爆投下・投下以後の事実を時系列に追ったもの
ソノゴ  原爆小文庫ラベル「ソノゴ」 法整備や原爆症補償をめぐる裁判、被ばく者のその後を追ったもの
タゲンゴ 原爆小文庫ラベル「タゲンゴ」 日本語以外の言語で書かれたもの
シャシン 原爆小文庫ラベル「シャシン」 おおよその形態が写真(絵)のみで構成されており、特に大型のもの
マンガ 原爆小文庫ラベル「マンガ」 形態が漫画であるもの
メディア 原爆小文庫ラベル「メディア」 CDやDVDなど、紙以外の記録メディアのもの
ザッシ 原爆小文庫ラベル「ザッシ」 形態が雑誌であるもの
ゲンバク 原爆小文庫ラベル「ゲンバク」 原爆投下に関連する人物や原爆そのものについて論じたもの 

また、検索の際は、「図書記号」にそれぞれの分類名を半角カタカナで入力ください。           

メディア掲載

  • 1976年6月20日 朝日新聞「保谷市立下保谷図書館に原爆小文庫を 寄贈集まり もう数百点 長岡さん 原爆の日に開設目指す「一緒に読み考えよう」」
  • 1976年10月20日 読売新聞20面武蔵野版「「原爆文庫」保谷で開設 研究家の寄贈呼びかけ実り 全国から大反響250冊」
  • 1976年10月24日 中国新聞「『原爆小文庫』がオープン 東京の下保谷図書館 小説・写真など280点 雑誌編集者の呼びかけ実る」
  • 1979年1月31日 東京新聞「この街のこの人 原爆小文庫 利用者、他市からも」
  • 1987年8月6日 読売新聞 朝刊 18面「人気呼ぶ「原爆小文庫」」
  • 1988年11月28日 産経新聞 朝刊「楽しみのある図書館へ 「原爆小文庫」1100冊以上に 保谷市柳沢」
  • 2018年5月10日 『中国新聞SELECT(セレクト)』(発行:中国新聞社)「東京のヒロシマ②原爆小文庫(西東京市)平和への知識年々蓄積」
  • 2019年1月23日 朝日新聞 朝刊「東京で伝える被爆の実相」
  • 2023年8月5日 ひばりタイムス(地域報道サイト)「ひばりが丘図書館の「原爆小文庫」リニューアル 半世紀かけて関連図書4000冊に」 (最終確認:2023/11/8)
  • 2023年8月9日 国立国会図書館 current awareness Portal「西東京市ひばりが丘図書館(東京都)の原爆小文庫、リニューアル」 (最終確認:2023/11/8)
  • 2023年8月18日 J:COMチャンネル〈テレビ番組 ジモト応援つながるNews内〉「ひばりが丘図書館「原爆小文庫」をリニューアル」
  • 2024年2月25日 東京被爆二世の会 会報「おりづるの子」第41号「西東京市ひばりが丘図書館 原爆小文庫って?」

原爆小文庫スクラップブック
文庫の開設当初から図書館が続けている、原爆関連の新聞記事の切り抜き。スクラップブックは、2023年7月現在、157冊目になります。

原爆小文庫は、ひばりが丘図書館にありますが、

かつてひばりが丘図書館からほど近い場所に、中島航空金属田無製造所(なかじまこうくうきんぞくたなしせいぞうしょ)がありました。太平洋戦争では、航空機産業は攻撃の対象となり、田無製造所も例外ではありませんでした。

戦後、製造所の跡地の多くは、ひばりが丘団地となり、ここに住む多くの人の平和な暮らしの礎となって、今日にいたります。

リンク:
西東京市ホームページ【平和推進】のページ
西東京市では、戦争を振り返り、平和を希求するためのさまざまな取り組みを行っています。
西東京市中央図書館「地域・行政資料室」
戦争の記録をはじめとする西東京市の歴史全般についてお知りになりたい場合は、資料室をご利用ください。

地域の歴史を記録し、保存し、後世に伝える取り組みを、今後も続けてまいります。