第6回事例紹介(平成22年12月) 色鉛筆の「肌色」と「うすだいだい」について/「おにぎり」の歴史/竹林の七賢について

事例16:色鉛筆の「肌色」と「うすだいだい」について
質問 色鉛筆の「肌色」が「うすだいだい」という名前に変わったのはいつごろか。なぜ変わったのか「うすだいだい」の命名者はだれか。
回答
  • 『読売新聞縮刷版 1998年11月号』(読売新聞社 1998) p475、11月10日に「クレヨン パス 絵の具「はだいろ」差別?「ぺんてる」新名称に 来秋メド 国際感情にも配慮」という記事のなかに、肌色からペールオレンジに名称を変える記述がありました。
  • 『朝日新聞縮刷版 1999年3月』(朝日新聞社 1999) p927、3月18日(朝刊)にぺんてるが「ペールオレンジ」に変えたという記事がありました。
  • 「うすだいだい」についてはインターネット情報より、神戸新聞2006年5月31日に「2000年には、三菱鉛筆、サクラクレパス、トンボ鉛筆の大手三社が、色鉛筆や絵の具、クレヨン、マーキングペンなどの「はだいろ」を「うすだいだい」に呼称変更」という記述がありました。命名者については情報が有りませんでした。
回答プロセス 以下の2冊も調査しましたが、うすだいだい、ペールオレンジについては記述がありませんでした。 朝日新聞記事データベース[聞蔵Ⅱビジュアル]でキーワード<色鉛筆>で新聞記事を検索し、記事を見つけました。
事例作成日 平成22年9月8日
事例17:「おにぎり」の歴史
質問  「おにぎり」の歴史について古代から現代まで知りたい。
既に『おにぎり・おむすび風土記』(生内玲子著 日本工業新聞社 1979)を利用中であるが、p35に由来は屯食(とんじき)、p221に「おむすびが商品化されたのは、明治18年に宇都宮駅で発売された駅弁第1号」等の詳しい記述がある。
回答

市内に所蔵のある資料では、以下のものを提供しました。

  • 『たべもの起源事典』(岡田哲編 東京堂出版 2003) p349「にぎりめし」の項に古代から明治18年駅弁第一号までの歴史的記述がありました。
  • 『にっぽん食探見』(長友麻希子著 京都新聞出版センター 2007) p102~103におにぎりは屯食(とんじき)といわれる携帯食、江戸時代になると握り飯と呼ばれ「幕の内弁当」に発展し、現在はコンビニのおにぎりという記述がありました。
  • 『たべもの日本史総覧』(西山松之助著 金子浩昌著 伊東寛他著 新人物往来社 1994) p105に「奈良・平安時代の文書には「屯食」という言葉がでてきて握り飯のことと推定されている」という記述がありました。弁当としてふつうになったのは明治以降という記述もありました。
  • 『日本大百科全書 17』(小学館 1987) p346「屯食」に「皇子誕生や元服などの宴の時下郎たちに賜るもの、「つつみいい」ともいうという記述がありました。
  • 『調べて学ぶ日本の衣食住 食』(大日本図書 1997) p67に武士の戦いのあいまにさっとたべるものとしてとんじき(おにぎり)という記述がありました。
  • 『日本人と食べもの』(田村真八郎著 丸善 1999) p35-37に「おにぎり」について平安時代の屯食から現代の冷凍おにぎりについての記述が有りました。
  • 『衣食住の歴史』(西本豊弘監修 ポプラ社 2006) p99に1221年承久の乱で梅干入りのおにぎりについて記述がありました。

市内未所蔵の以下の資料は、都立図書館ならびに他自治体図書館より借用して提供しました。

  • 『日本の「食」とくらし 3』(竹内由紀子監修 学研 2003) p26,27におにぎりの歴史がありました。弥生時代、平安時代の遺跡からおにぎり状の炭化物の写真がありました。
  • 『発見!体験!日本の食事 5 おにぎり-時代による変化を知ろう-』(次山信男監修 ポプラ社 2002)おにぎりの歴史、各地のおにぎり、おにぎりとおむすびの違い、コンビニのおにぎり、おにぎり工場、おにぎりの握り方などが有りました。
事例作成日 平成22年10月8日
事例18:竹林の七賢について
質問 中国の後漢から魏を経て西晋に至る間に「竹林の七賢」と称された知識人について書かれた資料と絵画(できればカラー)が見たい。
回答 『ある抵抗の姿勢-竹林七賢』(現代人のための中国思想叢書 7)(後藤基巳著 新人物往来社 1973)のp32-190まで、竹林七賢の思想と行動について記述がありました。
図版の載った以下の資料を提供しました。 また、参考資料として七人の隠士のうち、阮籍(げんせき)、ケイ康(けいこう)、劉伶(りゅうれい)の著作物(詩・散文)の掲載された資料を提供しました。
回答プロセス <竹林七賢>のタイトル名で当館データベースを検索、『ある抵抗の姿勢-竹林七賢』がヒットしました。
『日本美術作品レファレンス事典 絵画 近世以前』(日外アソシエーツ 紀伊国屋書店(発売) 1998)を作品名から調査しました。p594-596に「竹林七賢図屏風」、「竹林七賢図襖」、「竹林七賢図襖絵」、「竹林七賢・香山九老図」、「竹林七賢・南山四皓図」、「竹林七賢酔舞図」、「竹林七賢・李白観瀑図」の記載がありました。収載された各美術全集がわかるので、それぞれの所蔵調査をしました。
事例作成日 平成22年11月12日